Hola! メキシコ雑貨こらそん店主の貴子です。 メキシコのクリスマスシーズンは、とっても長いってご存知でしたか? 国民の90%以上がキリスト教徒で聖書由来の伝統的な儀式やイベントが関連しているということもあり、日本とはクリスマスの過ごし方が全然違います。 メキシコのクリスマスは、12月16日から始まり年末年始を迎え1月6日まで続き、最終的には2月2日で集結します。 私も初めてメキシコでクリスマスを過ごした時には
ん?12月16日から始まるってどういうこと?
クリスマスツリーが1月に入っても飾ってあるし、もうお正月なのにクリスマスの雰囲気がすんごく長い!
と、日本との違いに戸惑い、どうしてこんなに長いのか分かりませんでした。 そこで今回は、クリスマスからお正月も含めた過ごし方と伝統料理を、解説していきます!
この記事の内容はこんな方へお勧め!
◎クリスマスシーズンと年末年始をメキシコで過ごす方
◎メキシコのクリスマスやお正月に興味がある方
◎伝統的なクリスマス料理を知りたい方
- メキシコ在住4年&グアテマラ在住4年の中南米歴15年
- メキシコのオアハカでゲストハウスを運営し出産を経験
- 現在は北海道にてメキシコ雑貨屋さんを運営
どうしてこんなにクリスマスシーズンが長いの?
日本のクリスマスは恋人や友達と過ごすイメージが強いですが、メキシコでは家族や親族と一緒に過ごします。 どちらかと言うと、「日本のお正月のような過ごし方」をしています。 それにしても、なぜこんなに長いのでしょうか? それは、聖書に由来しているからなんです。 12月25日は、「イエス・キリスト」が生誕したとされている日。 キリスト教徒が圧倒的に少ない日本では認識が低いですが、聖書には「イエス・キリスト生誕」のストーリーが産まれる前から産まれた後まで、記されています。 メキシコのクリスマスの風習は、そのキリスト教の信仰とメキシコ文化が融合した独自のもので、他の国では味わえない唯一無二の雰囲気なのです。
そのストーリーと一緒に、クリスマスシーズンを紹介していくよ!
12月16日〜24日【ポサダ】
イエス・キリストの両親である「ヨセフとマリア」が、出産のための宿を探し歩く旅にでていた、9日間の期間に行われるお祭りを「ポサダ」と呼んでいます。
クリスマスシーズンに最初に訪れるのは「ポサダ」のお祭り。 ポサダは、クリスマス前夜に当たりキリストの誕生を祝うために行われます。 通常は家族や親族・近隣の人達と集まりますが、子供の学校で開かれたり、友人同士で開くこともとても多いです。 料理を囲んで食事を楽しみながら、クリスマスの喜びを共有し交流を深めます。
伝統的なポサダのお祝いでは、ヨセフとマリアが宿を求めて歩く儀式が再現されます。 人々が家々を訪れ歌や詩を歌いながら宿を求め、最終的に歓迎される様子を歌で表現するんだそう。 また、子供向けのちょっとしたイベントも行われます。 日本で言うくす玉のようなものに飴などのお菓子を詰め高いところから吊るし、目隠しをした子供達が順番に叩き、割って散らばったお菓子を拾い集めるイベントが大盛り上がりです。 時には、大人も参戦して子供のようにはしゃいで楽しんでいます。
「目隠しをして叩き割る」という意味では、日本のスイカ割りみたいな感じでしょうか。
ピニャータは様々な形がありますが、ポサダで使われるピニャタは星型のピニャタと決まっています。 この期間は、クリスマスイブまで毎晩の様にドンちゃん騒ぎが夜中どころか明け方ぐらいまで続くので、メキシコ中が賑やかになります。 家族愛の強いメキシコ人にとって「ポサダ」は、家族や地域社会の絆を深めクリスマスを迎える楽しさと一体感を生む重要な行事なんです。
クリスマスシーズンによく食べられる料理
その土地で採れる魚介やフルーツ・野菜が違うこともあり、地域差や種類も結構あります。 その中から、伝統的な料理とオアハカで人気の高い料理をいくつかご紹介します。
パボ・ナビデーニョ
七面鳥をスパイスや調味料で焼いた料理で、直訳すると「クリスマスのローストターキー」という意味です。
メキシコのみならず、スペインや中南米などの多くの国で食べられています。
ロメリートス・コン・モーレ
ロメリートというヒユ科の植物と鶏肉やじゃがいも・乾燥海老をモーレソースで煮込んだ料理です。 ロメリートは、メキシコの中部および中南部地方で採れる伝統的な食材の為、食べられる地域は限定されています。
エスカベチェ・デ・カルネ・デ・プエルコ
豚肉と野菜・スパイスを酢ベースのマリネで煮込んだメキシコの伝統的な料理で、特にオアハカのクリスマスに楽しまれています。
事前に作って冷たいままで提供できる為、作り置きにピッタリなんだとか。
タマレス・オアハケーニョス
一般的なタマレスは、とうもろこしの粉とラードを練って中にお肉などの具材を入れ、とうもろこしの葉で包んで蒸した料理です。 オアハカのタマレスは他の地域とは異なり、モーレを使った具材をバナナの葉で包んでいるので、しっとりとした特有の味わいがあります。 伝統的な料理の一つで、クリスマスシーズン以外でもお祝い事の際によく食べられています。
オアハカ料理を詳しく知りたい方は、こちらの記事も合わせてどうぞ!
クリスマスシーズンを実感する身体も温まる飲み物
ポンチェ
さまざまなフルーツやシナモンなどのスパイスを甘味料と一緒に煮込んだ、温かいフルーツポンチで伝統的な飲み物の一つです。
大人にはテキーラが入ったポンチェが人気で、街中の至る所で屋台が出ています。
12月24日【クリスマスイブ】
クリスマスイブは「ポサダ」の最終日です。 メキシコのクリスマスディナーは、通常イブに行われます。 この日は、家族や親戚・時には近隣の方も含めて、盛大にお祝いする日です。 料理を担当するお母さんやおばあちゃんは、家族皆が3日間くらい食べられるほどの大量の料理を数日前から作ります。
日本のお節料理みたいな感じだね!
クリスマスに欠かせない魚料理
日本のクリスマスディナーの定番はローストチキン等のお肉料理がメインですが、メキシコの伝統的には肉料理ではなく魚料理が食べられています。
バカラオ・ア・ラ・ビスカイーナ
ソルトフィッシュ(塩漬けの魚)を、トマト、オリーブ、チレ、じゃがいも、玉ねぎ、ニンニクなどと一緒に煮込んだ料理です。 スペインから伝わったものですが、メキシコの食材やスパイスを加えて、独自の味わいに進化したそう。
ただ、結構手間暇かかる料理な為、バカラオではなくお肉料理を食べる家庭も多いみたいです。 この日は家族と食べて飲んで踊って朝方まで楽しく過ごしますが、多くのメキシコ人は夕食前後にミサへ出かけます。 そしてこの日に子ども達は、サンタクロースではなく「レジェスマゴス(東方の三賢者)」宛に、欲しいプレゼントの手紙を書き、クリスマスツリーに添えるのが定番です。
この「レジェスマゴス」は、年明けにも登場するので、覚えておいてね!
25日を迎える0時になると、皆んなで順番に抱擁し合い、家族の幸せの感謝を口にしたりします。 感極まって泣いている方も見かけました。
0時を迎える時は厳かな雰囲気になる為、日本の大晦日や元旦に近いものを感じます。
最近は、日本の大晦日や元旦も賑やかだけどね!
12月25日【クリスマス】
ヨセフとマリアは最終的に現在のイスラエル辺り「ベツレヘム」に辿り着き、12月25日にイエス・キリストを出産したとされています。
ベツレヘムでは宿が満杯で、ヨセフとマリアは宿に泊まる場所がなく、出産後のイエスキリストは動物小屋の馬の飼い葉入れに寝かされたとの言われがあります。
12月25日のクリスマス当日は、遅くに起きてクリスマスイヴと同じものを食べ、家でゆっくりと家族とくつろぎます。
日本ではクリスマスは大賑わいですが、メキシコではお店・銀行・公共機関なども休むことが多く、出かけずに家でのんびりと過ごします。
クリスマスツリーと一緒に、「ナシミエント」と呼ばれる伝統的なディスプレイを飾っているお家が多いよ。
キリストの誕生を表現したもので、結構リアルなものから写真のような可愛らしい感じのものまで色んな「ナシミエント」が色んな場所で飾られたり、ミニチュアが売ってたりするよ。
年末年始
12月31日の夜は、家族や友達と一緒に過ごし、カウントダウンとともに新年を迎えます。 街の中心地のソカロや教会近くでは花火が上がり、爆竹を飛ばしまくって賑わいを見せ、何なら結構危ないです。笑 日本では、大みそかには年越しそばを食べるという風習がありますよね。 メキシコでは、新年を迎える時に12粒のブドウを食べます。 年が明ける瞬間に、12回の鐘が鳴る間に1秒ごとに1粒ずつブドウを食べるというものです。 この風習は元々スペインから広がり、メキシコや他のラテンアメリカ諸国でも受け継がれています。 一般的に「幸運を呼ぶ12粒のブドウ」と呼ばれ、新年の12ヶ月を象徴しそれぞれの月の幸運を祈るという意味があります。 12粒食べ切れたら、新年に幸運が訪れたり願い事が叶うと言われるんだそう。
諸説あるみたいだよ!
ブドウを食べ終わると新年を祝うパーティーが始まることが多く、そのまま朝方までドンちゃん騒ぎです。 元旦料理は日本のお節料理のような決まった伝統料理はなく、シーフード・タマレス・ポソレ・チキンや豚肉を煮込んだ料理・ポンチェなど、地域や家庭によって異なりさまざまだそうです。 タマレスとポソレは、よくお祝いの時に好まれます。
ちなみにメキシコは元旦のみお休みで、2日以降は仕事も始まり通常営業に戻ります。
その為、日本のようなお正月感はありません。
1月6日【レジェスマゴスの日】
レジェスマゴスとは、東の方からやってきたの3人の占星術の学者や博士の事で、「東方の三賢者」と呼ばれています。
この賢者達は、12月25日にイエス・キリストが産まれた知らせを聞き、贈り物を捧げる為ベツレヘムに向かい、到着したのがこの1月6日とされています。
誕生したイエスキリストを見て拝み、「乳香・没薬・黄金」を贈り物として捧げた事から、1月6日に子供達はプレゼントを貰う風習ができました。
ここでようやく子供達は、クリスマスイブに手紙にしたためたプレゼントが貰えます。笑 前日の5日は、プレゼントを用意できる最後の日なのでお店はごった返しています。 とはいえ現代では、メキシコでもサンタクロースの存在は有名。 ショッピングモールなどでは、手紙を書いてポストに入れられるようになっていたりします。 メキシコシティのような外国人が多いところでは、「サンタクロースから12月24日の夜にプレゼントをもらう」家庭が多いですが、地方に行けば行くほどその割合が下がり家庭差もあります。 クリスマス当日とレジェスマゴスの日に、2回プレゼントを貰える子供もいます。 どちらかの日だけにプレゼントを贈るようにしていたり、友達同士でもプレゼントを貰った日や数が違うことが多々あるそうです。 そして、1/6までがクリスマスです。 またこの日は、「ロスカの日」とも言われています。 キリスト降誕祭をこの日に祝う為、「ロスカデレジェス」と呼ばれる伝統的な菓子パンを食べます。 生地の上には、シナモン風味の砂糖や、桃やグアバを煮詰めて固めたもので飾られ、見た目にも楽しい焼き菓子です。 このパンは、「王たちのパン」と言う愛称で、キリストの誕生を象徴するために、小さな人型の白いフィギュアがパンに埋め込まれています。 この小さなフィギュアは、「イエス・キリスト」を表現していて、「ヘスス」と呼ばれています。 切り分けた菓子パンを食べる際、ヘススのフィギュアに当たった人は「今年1年ラッキー」と言われ、その幸せをみんなに分ける為、お返しをしなければならないという決まりがあります。 このイベントは家族や友達との団らんを楽しむ為のものであり、メキシコのクリスマスの季節を締めくくる特別な行事となっています。
2月2日【カンデラリアの日】
カンデラリアの日は、イエス・キリストが生まれてから40日目で、聖母マリアがキリストを神殿に連れて行った日とされています。
1月6日の「ロスカデレジェス」でヘススのフィギュアに当たった人は、「タマレス」をみんなにご馳走してお返しをしないといけません。 メキシコでは、タマレスを売っているお店には緑色の行燈を灯す習慣があります。 ※灯さないお店ももちろんあります。 豊かさや幸運を象徴する食べ物でもあり、タマレスを売るお店では緑色の行燈を灯すことで、「幸運を呼び込む」という願いが込められているのだそう。
機会があったら、緑の行燈を探してみてね!
そして、この日でクリスマスに関連する行事は全て終了です。
まとめ
いかがでしたか。 メキシコのクリスマスシーズンは、キリスト教由来の伝統的な過ごし方をしている家庭が多いので、なかなか踏み込んだクリスマスを味わう機会は少ないかも知れません。 各家庭のクリスマスを知りたい方は、ホームステイやスペイン語学校が行っている外国人向けのイベントに参加するのもお勧めです。
それでも、ソカロや教会・レストラン等でクリスマス気分を味わうには十分な飾り付けやイルミネーションを楽しむ事ができると思います。
25日を過ぎてもクリスマスツリーやイルミネーションが飾ってあるので不思議に思うかもしれませんが、「1月6日まではクリスマス」という訳なんです。 メキシコ人にとってクリスマスはとっても大切な行事。 この期間にメキシコを訪れた際には、現地の風習を感じつつ是非クリスマス料理や街の雰囲気を楽しんでください♪